アジトにて。

「ゼロ、何見てるんですか?」
作戦資料かしら、と覗き込めばゼロは隠すでもなくカレンに見せてくれた。
「あぁ、これだ」
「――…に、『2泊3日の旅、オーストラリア』……?」
真っ白な砂浜に青い海が眩しいバカンスにはもってこいの風景の上にどどんっ!とでっかく『オーストラリア』という字が白抜きで「これでもか!」というほど主張されている。きっと多分似たようなところでハワイとかグアムとか沢山ありそうだ。
「………ゼ、ゼロ?」
「大衆向けプランとしては良いんだが、人ごみに具合が悪くなる奴が居てな。
ツアーはやはり諦めるか」
「は、はぁ、……………?」
誰と行くんですかもしかしてあのC.C.とかいう女と一緒に行くんですかそれとも黒の騎士団の作戦の下見ですか慰安旅行ですかそれなら是非とも御一緒致します私は貴方に付いて行きますでもやっぱりこの人仮面外さないのかしらそれだと空港入れないんじゃ、あ、コンビニもフルフェイスヘルメットは入店拒否されるのよね――とカレンはグルグル頭を回転させた。無駄に。
「桐原に小型のジェットでも買わせるか。だがその場合、操縦が…」
人を使うか、でもそれだとアイツ嫌がるかもしれないし。それぐらい我慢させるか。だが場所が知れるのは拙い。ナナリーが居るのに仮面を被るわけには行かないし。それともギアスを使うか?
ブツブツとカレンに聞かれたら致命的な人名を交えた呟きは幸いにも仮面に遮られてカレンには聞こえなかった。
「………………………ゼロ?」
「カレン、土産は何が良い」
「…コアラのマーチでお願いします。」
「わかった。(あるのか?)」
こくん、と仮面が揺れた。
「あの、」
「ん?」
「――つ、次は連れて行って下さい」
何とかそれだけは言う事の出来たカレンに、後ろの団員達からささやかな拍手が送られた。








2007.01.31 おーすとらりあへゆきましょう。 end