貴方は乞食。お腹が空いて空いてパンが欲しくて仕方ない。パンが欲しくて――どうしたの?

馬鹿馬鹿しい問いに真面目に「働いて買うよ」と答えたのはやはりスザクで、適当に「盗む」と答えたのはやっぱりルルーシュだった。彼等はお互いの答えを耳に入れる前から予想していたので、その言葉に苦笑いするだけだった。スザクはルルーシュの答えでは、盗もうとしても乞食の骨と皮だけの弱った身体では返り討ちにされて殺されるだけだと知っていたし、ルルーシュはスザクの答えに、働こうにも乞食のような薄汚れた学の無い人間を雇う店は何処にも無いし働いている間に餓死するのは目に見えていると思っていたが、そんな事はおくびにも出さず、「君らしいね」「お前らしいな」と顔を見合わせるだけであった。そんな平穏を生きる学生には「もしも」で始まり終わってしまう問いは日常に解けて往き、忘れ去られた後は二度と口に昇る事は無かった。








2007.02.16 パンが無いならお菓子を食べなさい end