自分はキングではない。そう、ルルーシュは思う。
キングになってはいけない、と。
盤上の戦争はあくまで盤上のものであって、動かすのはマテリアルだけだ。
――マテリアルになってはいけない。
動かされる事など、あって良い筈が無い。
自分は常に動かす側でなくてはならない。
コーネリアのように自らをクイーンとして動くのではなく、戦況を常に冷静に、冷徹なまでに把握しなければならないのだ。
マテリアルになってはいけない。レジスタンス達はルルーシュ――ゼロの事をキングだと思っているが、ルルーシュにそんなつもりは無い。
「キング」の生死それ自体はルルーシュの命と何ら係わり合いを持たない。
けれど、そう――万が一このゲームに負ける事があれば、喪うのは、ベットした自分の命だと、ルルーシュは知っている。
ベットしたのは自分の命。
対戦相手は狂った世界。
さぁ、ゲームを始めよう。
2006.11.16 黒と赤を支配し、世界を捧げよ end