2月3日。
今日は黒の騎士団メンバー全員を呼び出した訓練をやった。
イキナリ昨日の夜にゼロからのメールが来て『ヒマなヤツ全員集合』とあったから、本当は余りヒマじゃなかったんだが幹部として欠席するわけにはいかないと頑張ってみた。
行ってみれば、『ヒマなヤツ』とあったのに団員全員が集まっていたのには正直驚いた。(頑張ってきて良かった。行かなかったら次の日絶対ハブにされる所だった。)やっぱりゼロの影響力は凄いと思う。
何をやるのかと思ったらイキナリ何も言わずに全員にマシンガンを一回り小さくしたような改造銃と一升枡が配られた。一升枡。当然中にはぎっちりと詰められた鬼打豆。(玉城、言っとくがコレは大豆だぞ? 豆の品種じゃないからな?)
まさか、と思ってゼロを見つめれば、ゼロがこくん、と頷いた。(何時も思うんだがゼロが頷くとあのチューリップ仮め、いや珍みょ、ではなくて丸い仮面だけがカクン、と揺れるので変に可愛らしいと思う。)
皆の視線の先、ゼロが悠然と右手を上げて数メートル先にいくつもある某くるくるロールヘアー(あれはどういうセットの仕方なんだろうか)の的を指差した。
たった、それだけの動作だ。
それでも。
もう、俺達の間に言葉は要らなかった。
一斉に「鬼はぁー外ぉー!福はー内ぃー!!」と叫びながら撃って撃って撃ちまくった。
みんなして物凄い的中率だった。多分的を外したヤツはいないんじゃないだろうか。
弾が豆なので殺傷力は無くても、厚紙で出来てたらしい的は全て穴が開いていた。
それを確認して、ゼロは無言でグッとサムズアップした。全く同じタイミングで俺達もそれに無言で倣う。
黒の騎士団がひとつになった歴史的瞬間だ。
その後、ゼロは的を全て火炎放射器で焼き払い、皆に歳の数分の豆(全員の歳を覚えているらしい。)とイワシの握り寿司を配ってくれた。
物凄く美味かった。
後で何処で買ったのかと聞いたら「自分で作った」と言われた。しんじられない。
玉城が「何で恵方巻ないんだ」と怒鳴って(この天邪鬼め)いたが、ゼロは「関西の人間ならまだしも、あんな商売欲まみれの食い物に手を出すつもりは無い」と言っていた。俺もアレはどうにも好きになれないので何だかシンパシーを感じてゼロが身近になった気がする。
アジトの入り口にはイワシの頭の刺さった柊の枝が立てられていて、俺は不覚にも涙ぐむ所だった。
射撃訓練にもなったし、何より今日は何年かぶりの節分を堪能できた。
やはり日本文化は素晴らしい。
ヒマでなくても来て良かったな。
改造銃の出来も素晴らしかったがあれもゼロが作ったんだろうか。
今度聞いてみようと思う。
記入者、南。
次回は吉田だ。日誌を自分の所で何日も止めるなよ。
2007.02.03 破壊日誌 end